【高松の市街地にビール醸造所が生まれる?】ビールルーム「とりかご」を運営する、合同会社白雀の村石さんに話を聞きました

この記事は3分以内で読めます。
取材は2021年5月に行いました。

高松市街の有名店・うどんバカ一代の近くに、5月にオープンしたビールルーム「とりかご」さん。

多種多様な味わいのクラフトビールが、国産ブランドを中心に取り揃えられた新店です。

これだけでも香川県内では希少なスポットですが、どうか驚かないでください。

オーシカ

ここ、現在は準備中ですが、なんとビール醸造所になるんです! こんな市街地で、ですよ。

高松を好きになって県外から移住。

ビールルームと醸造所の両面から「クラフトビールの魅力をもっと知ってもらいたい」という、合同会社白雀代表・村石さんに、今回は話を聞きました。

目次

「とりかごは、自分のビールを知ってもらうためのショールーム」

とりかごさんは、真昼間から、しかもチャージなしで気軽にビールが飲めるとあって、ビール好きが集まる場所になる予感がします。

村石さん「クラフトビールというものをもっと気軽に感じていただきたいと思っています。今後は自分のビールもこの場所で醸造する予定です。それぞれのビールについて、自分なりにではありますが、『このように提供すれば美味しいのではないか?』というひとつの方法を、お客様に提案していきたいと考えています」

お店の奥が醸造所になる予定で…このお店は、『ショールーム』のような役割なんですね。

村石さん「まさにそうですね。カウンターのなかにタップ(注ぎ口)が5つあるんですが、これを7つに増やして、5つは自社、2つは他社のビールを提供できればと考えています。アメリカの会社に発注している設備がいつ頃届くかにもよりますが、今年の秋頃から自社ビールを醸造開始できるよう準備を進めています」

現在は、他社のビールだけということで、品揃えはどのように選んでいるんですか?

村石さん「オープン時点でのラインナップは、お世話になっているところや自分が実際に飲んで美味しいと感じた醸造所から選びました。今後は、ラインナップ全体のバランスを考えながら、国内外の醸造所からさまざまなビールを取り寄せる予定です」

香川県内って、まだまだ中小規模の醸造家が手がける、クラフトビールの認知度がまだまだだと思っていて。

とりかごさんのような専門店が、少ないように感じます。

村石さん「だからこそ、ここで軽く1〜2杯だけ飲んで、中央商店街に出ていく。というふうに使っていただきたいな、と。午前11時から営業しているのも、明るい時間でも気軽に利用していただきたい、という考えからなんですよね」

名門・ベアードブルーイングで腕を磨き、高松の商店街の活気に魅せられて移住

村石さんは、県外から移住されてきた方。香川とのご縁について聞きました。

香川県の、それも高松のどういうところが気に入って、移住されてきたんでしょうか?

村石さん「初めて高松に来たのは、もう10年以上前になります。中央商店街の活気がとても気に入ったんですよね。いろいろ行ってみたいところはあったんですが回りきれなかったので、それからもちょくちょく来るようになって」

そうですね。

高松中央商店街は日本一長いアーケード街ですし、お店もとても多いです。

村石さん「ただ当時は、クラフトビールを飲めるお店が少なかったんですよね。だから、あるお店に何度も通うようになったんですが、そこで人の輪が広がって、高松の友人ができたり、尊敬する方が少しずつ増えてきたんです」

見知らぬ土地でイチから人の輪を広げていくって、素晴らしいです。

村石さん「それで、この好きな街で、好きな人たちに、自分が大好きなビールを作って飲んでもらいたいと思うようになったんですよね」

村石さんは静岡のビール醸造所・ベアードブルーイングで働かれていたんですよね?

村石さん「はい。9年ほど、そちらで醸造の技術を学んで。本格的に独立しようと考えたのは、2019年の夏くらい。香川で物件を探し始めたんですが、普段は静岡にいるので、なかなか見つからなくて」

うわー、香川と静岡の往復はツラいですね。

村石さん「本当に(苦笑)。で、思い切ってその年の暮れには会社を退職し、去年から本格的に活動を始めたという流れですね」

Instagramの方で、開業に向けて急ピッチで活動されているご様子を見ました。

醸造所ができたら、きっと街の人も驚くと思いますよ。「こんな市街地にビールの醸造所があるの?」って。

村石さん「自分の小さな醸造所も、街に溶け込んで、愛される場所になったらいいな、と思っています。高松って飲食店を含めて、個人店が多いですよね。店主さん1人ひとりが『スペシャリスト』で、クリエイティブな方が多い。自分も、そのような方々に少しでも近づくことができればと思っています」

どれも香り高い! クラフトビールのラインナップをご紹介

ここで、なるべく似通った味のビールにならないように、バランスを考えて選ばれているというクラフトビールを5つ、村石さんよりご紹介いただきました。

オーシカ

いずれも香り豊かこれまでビールが苦手だった方でもお楽しみいただけると、飲んでみて思いました!

(各グラス300ml。時期によって店頭にないビールもあります)

IKKIヘレス(一騎醸造) 800円

「一騎醸造さんでは、自社工場を持っていませんが、各地の醸造所と協力してビールを作っています。このIKKIヘレスは、フルーティーな香りと軽やかな口当たりでとても飲みやすいビールです。1杯でも2杯でも飽きることなく飲み続けられるような、味わいのバランスの良さがウリですね」

カルティベーター(Yorocco Beer・神奈川) 1,000円

「マンゴーやグアバ、パッションフルーツといったトロピカルフルーツや、柑橘類のようなフルーティーな香りが感じられます。比較的さっぱりとした味わいですが、非常に風味豊かで、オレンジがかった深いゴールドカラーが美しいビールです」

黒潮の如く(京都醸造・京都) 800円

「黒潮の如くは、黒色のビール。お客様から黒いビールは苦手という声をいただくことがあります。黒いビールは渋味があったり、味わいが重たいというイメージを持っていらっしゃる方が少なくないようです。

しかし、この黒潮の如くは口当たりが軽く、コーヒーやチョコレートのような甘く香ばしい香りとともに、フルーティーな香りも楽しめます。黒いビールに良いイメージを持っていらっしゃらない方の考えすら覆すことができる、可能性を秘めたビールです」

マージーサイドESB(沼津クラフト・静岡) 800円

「深いブラウンカラーのビールです。カラメルやチョコレート、パンのような風味に麦芽由来の優しい甘味があり、麦の存在感をしっかり感じられるビールです。ただ、しっかりとした苦味によって後口は引き締まり、決して甘ったるくはありません。」

Fresh Squeezed IPA(Deschutes・USA) 1,000円

「IPA(アイピーエー)と呼ばれる種類のビールで、柑橘類や杏、桃といった、果物のような華やかな香りと強い苦味が特徴です。こちらのビールは同じような種類のビールの中では比較的麦芽由来の味わいも強く、香り・苦味・甘味が口の中でバランスよく溶け合う、満足度の高い1杯です」

いずれもなくなり次第、連続で同じビールをつなげることはないそうです。

1〜2ヶ月に1回くらいのペースで飲めるビールは切り替わっていくので、飽きがなく楽しむことができますね。

いつもの黒ラベルも、注ぎ方で変わる? 「ビールの面白さ・奥深さを知って!」

僕・オーシカは東京に長くいたので、クラフトビールに触れる機会も多く、よく飲んでいたんです。

だからこそ僕自身も、「香川にももっと、クラフトビールを出すお店があったらなあ」と感じていたんですよね。

村石さん「お酒を飲む1つの選択肢として、クラフトビールが当たり前にあるような空気ができればな、と思います。実はクラフトビールではないんですが、まず『ビールの面白さ・奥深さを知っていただこう』ということで始めた施策があるんですよ」

と、いいますと…?

村石さん「当店でお出ししているサッポロ黒ラベル(600円)なんですが、『スイングカラン』という特殊な注ぎ口を使っていて、いろんな味わいの工夫ができるんです。じゃあ…まず飲んでみてください」

と言って、お出ししていただいたのがこちら。

泡が普段見るようなシュワシュワとした感じじゃなく、きめ細かい!

オーシカ

とてもクリーミーな口当たりで、味わいも喉につっかえるような感じがなく、爽やかです。

村石さんもっちりとした泡にしたり、炭酸ガスを控えめにして飲み心地をよくしたり。注ぎの工夫次第で、お客様の好みに合わせたコントロールができるんですよ」

クラフトビールと大手メーカーのビールを分けて考えていたんですけど、一気に価値観が変わりました!

村石さん「大手メーカーさんのビールは、当然ですが品質が非常に高く、とっても美味しいんです。自分でできることには限界もあるかもしれませんが、可能な限り劣化をさせないように注意して、少しの工夫を加えて注ぐことで、その美味しさをできる限りお客様にお伝えできればと考えています」

ビールが「面白い」「奥深い」ものだということが分かります。

この黒ラベルを入口に、もっとユニークなビールが飲みたい!という気持ちになりますよ。

村石さん「そう思っていただければ幸いです」

こちらがスイングカラン。注ぎのレバーを縦に引くのではなく横に回す。

取材後記・店舗情報

取材のなかで、僕が村石さんに感じたのは、月並みだけど「ビールの魅力に取り憑かれた人」という印象でした。

先に書いた前職のベアードブルーイングも、「当時募集はしていなかったけど、どうしてもビールに携わる仕事がしたくて、履歴書を送った」ほどの熱意。

取材中に来店されたお客様に「お好みがありましたらオススメさせていただきますよ」と丁寧に接客されている姿を見て、より強く熱意を感じました。

そんな村石さんの想いがこもったオリジナルビールは、期待大!

県内の飲食店で見られる日も、そう遠くないかもしれませんね。

醸造は、今秋スタートの予定です。

オーシカ

まずはお店の方で、国内の魅力的なクラフトビールに触れてみてくださいね。期待して待ちましょう!

とりかご(合同会社白雀)

住所 香川県高松市多賀町2-17-11
営業時間 11:00〜20:00(19:30LO)
定休日 木
公式Instagramアカウント @shirosuzume.llc
アクセス
琴電花園駅から徒歩3分、琴電瓦町駅から徒歩10分
ホテルNo.1高松から徒歩5分、うどんバカ一代さん近くです

缶・瓶ビールのテイクアウトもできます!

とりかごさんでは、国内外の缶・瓶ビールの持ち帰りもできます。

品揃えは日々変わる場合があるので、お好みの味を村石さんに相談して、オススメをご提案していただくといいですよ。

ビールの種類に詳しくないという方でも、安心です(^ ^)

JR高松駅・琴電高松築港駅付近でビールを飲むなら、ココも!

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